学校で困ったとき・先生を頼りたいとき

2018年11月16日

『おそい・はやい・ひくい・たかい』連載
小学校教員
岡崎 勝

この連載は、親御さんや学校で働くみなさんがもつ悩みや困ったことに、「お・は」編集人のボクが率直に答えていく連載です。
炎上覚悟(笑)! どうか、「参考」になればと思います。
もちろん本誌も読み応えがありますから、そちらもどうぞ。

連載3 先生にいいたいことを伝えたい!(初級編その2)

保護者からボクが受ける相談で2番め(1番めはいずれ)に多いのは「先生にいっても埒(らち)があきません」という保護者の怒りと困惑の訴えです。苦情や要望を担任や学校にどう伝えるか「効果的な方法を教えてほしい」というものです。今回は、前回に続く「初級編」として連絡帳とお手紙について書いてみます。

 

初級編
1)連絡帳は「子どもが渡すもの」という前提で
連絡帳は子どもが持ち運びするものなので、「子どもが渡しやすい」ように書かなければなりません。子ども自身が「親の書いた苦情」を担任に届けるというのはとてもプレッシャーがあります。受け取るときの担任の表情や態度はもちろんですが、担任によっては「またか」的な表情が出てしまうこともあります。
親の立場からすると、担任に対して、子どもにそんな「心の傷」をあたえるような受けとり方をするなという主張もあるかもしれませんが、そこまで苦情の対象となると正直やってられないなあと思います。
保護者が自分の腹立ちを一気に書き綴ったものを子どもに持たせるという「常識」はボクにはありません。ですから、そういうときには「こういった内容を子どもは知っているのですか?」と聞き、できれば直接会いましょうとボクはいってきました。
子どもは親のパシリでもないし、郵便配達屋さんでもありません。中身も読もうと思えば読めます。自分の「体調が悪いから体育の授業を休ませてほしい」くらいの中身だったり実務的な連絡だったりするなら、子どもも納得してある意味気軽に渡せます。しかし、いろいろと担任への注文や抗議的な問いあわせを連絡帳に書くのをボクは好ましくないと思います。
ただし、緊急性のあることなどや、どうしてもひと言いっておきたいことがある場合には、子どもに「ちょっと先生に伝えたいことがあるから渡してね。でも心配しなくていいからね」くらいは添えておくことがあってもよいと思います。
ボクに「岡崎せんせい、母さんがなんか書いたけど、あまり気にしなくていいからね」といって、連絡帳を申し訳なさそうに渡してくれた子どもがいました。それほどたいした内容ではなく、連絡的なことだったのですが、それでも子どもは気をつかっているなと思いました。読み終わったあと、「大丈夫、よくわかったよ、お母さんに安心してねっていっておいて。また、なんかあったら連絡してね」と笑顔(!)で返したことがあります。

2)書く用件はできるだけ簡潔に
できれば、3行くらい、それが無理なら半ページまでです。1ページ以上になるようなら封書のお手紙にしたほうがいいかもしれません。さらに、込み入った内容なら、直接会ったほうがいいです。連絡帳に書くのは、会って話をする日時を調整するくらいの内容にします。
そして、書いたあと、ちょっと時間をあけて、必ず読み直してください。感情があふれ出るような文章を書いている場合は、若干気をつけたほうがいいです。
内容によっては、その文章は学校でコピーされ、保存されます。あとで破いても「残ります」。少なくとも品位を欠くような感情の噴出はやめたほうがいいとボクは思います。(深夜に書いたラブレターを、朝になって読み返して、投函できなくなる……あの感覚です)
重要な案件だと担任が判断すれば、少なくとも管理職や同僚に見せ、返事や回答を検討するのがふつうです。経験年数の若い先生だと、すべて主任に見せて相談することになっている場合もあります。
最近のSNS(LINE、メッセンジャーなど)でのやりとりを見ていると、読み直す間もなく送信されていることが多いので、かなり失礼で稚拙な、感情の整理できていない文章しか書かれていないことがあります。いわゆる「便所の落書き」です。
「文章を書くのが下手なんです」ということとは、まったくちがいます。文章が下手でも誠意をもって、感情を整理しながら書いた文章はしっかりと受けとめられます。教員の側だって文章が上手とはかぎりません。文章の上手下手でなく、誠意や気持ちや覚悟が伝わるかどうかです。それは文章技術とはちがいます。
できれば、読み返し、適切だと思う方法で直しましょう。直しているうちに感情が整理され、自分の気持ちも論理的に表現されると思います。
次回は、中級編で直接話しあいをもつ場合です。

 

結論
「連絡帳や手紙は、渡す前に読み直すこと!」

 

前回 連載2 先生にいいたいことを伝えたい!(初級編その1)

 おかざき・まさる

1952年愛知県名古屋市生まれ。小学校教員43年め。フリースクール「アーレの樹」理事。1998年より「お・は」編集人。きょうだい誌「ち・お」編集協力人も務める。著書に『きみ、ひとを育む教師ならば』『ガラスの玉ねぎ こどもの姿を写し出す1年白組教室通信』(ともに小社刊)、『みんなでトロプス!』(風媒社)、『学校再発見!』(岩波書店)、『新・子どもと親と生活指導』(日本評論社)、『センセイは見た!「教育改革」の正体』(青土社)、共・編著に『友だちってなんだろう』(日本評論社)、『がっこう百科』(小社刊)など。

 

 

おそい・はやい・ひくい・たかいNo.103
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