学校で困ったとき・先生を頼りたいとき

2019年8月15日

『おそい・はやい・ひくい・たかい』連載
小学校教員
岡崎 勝

この連載は、親御さんや学校で働くみなさんがもつ悩みや困ったことに、「お・は」編集人のボクが率直に答えていく連載です。
炎上覚悟(笑)! どうか、「参考」になればと思います。
もちろん本誌も読み応えがありますから、そちらもどうぞ。

連載6 先生にいいたいことを伝えたい!(途中編その1)
――学校トラブルをメディアでとりあげるのはアリ!?

今回は「訴訟や裁判」の話をするつもりだったのですが、その前に「広報」することについてお話しします。
じつは、ここ10年くらい、学校に不満や抗議をする人たちが新聞社や放送局に連絡して、自分の正当性を訴えて記事やニュースにしてもらったらどうだろうと相談する人たちがいます。もちろんケースバイケースですが。
つまり、学校の理不尽な子どもへの人権侵害や教員への不適切行為を指弾するために、メディアの力を借りるということです。もちろん、内部告発をはじめこうした広報は、時と場合によりますが必要なときがあります。世論に訴えることはけっして悪いことではありません。
ただ、いくつか注意しておくことがあります。なんでもかんでもマスコミに知らせればいいというワケではありません。

思うように取材・報道されるわけではない
まず第一に、知らせるときに匿名ではなかなかとりあってくれないことが多いのです。つまり、広報するならある程度の覚悟が必要だということです。自分は安全地帯にいてマスコミに「敵」を批判してもらおうというのは、残念ですが虫のいい話です。
メディアでとりあげてもらうのは、あくまで事実をきちんと報道してほしいのであって、そうすれば自分たちの正しさがわかってもらえるはずだという「正論」であるべきです。
わかっておいたほうがいいのは、新聞と雑誌では記事のつくり方がちがうことです。いずれにしても、当事者たち、子どもの名前を伏せることは当然です。学校名や校長名、担任名、被害者名、加害者名など出すか出さないかは、取材記者やその上司などの総合的な判断になります。そういった背後にあるリスクを考えずに「さらす」ことは避けるべきです。
テレビ取材ではプライバシー保護で「顔出し」を避け、モザイクをかけたり声を変えたりすることもあります。取材を受けるときは、あらかじめそのことを確認する必要があります。
二つめは、その記事が必ず新聞に掲載されたり、ニュースで広報されるとはかぎりません。取材はあくまで取材であり、広報するかどうかは記者が判断して取捨選択します。いくら一生懸命に取材に応じても、記事がボツになることはよくあります。メディアも市場原理が働きますから、視聴率や購読率がとれない記事は書きません。大きな事件があったりすると、しばらくはそのことでもちきりで、小さな話題は記事にはなりません。
また、何時間も取材に応じたのに記事を見たら数行だったり、ニュースでも1分に満たなかったりすることもあります。
だけど、大きく報道されるのがいいかといったら、それはそれでたいへんです。バッシングもあるかもしれません。自分が絶対に正しいと思っているのに、思わぬところからの批判やいやがらせのいいがかりもある場合があります。
他人はびっくりするようないろいろな価値観をもっているものです。そういったいやな思いをするかもしれないということも、ある程度は覚悟が必要です。ボク自身も何度も取材や放送でめんどうな思いをしました。
しかし、出たら出たで、それなりに「効果」も出ます。メリットとデメリット、どちらが大きいかをくらべてみることが重要です。メリットが上まわれば「よかったな」ということです。
三つめは、取材を受けるときの準備はシンプルに事実だけをまず箇条書きにメモしておく必要があります。ですから、怒りや悲しみが強いときは冷静さが必要です。
感情に装飾された事実の記述は、冷静に見ると、「それほどでもない」と思われることもあります。「(記者は)なんでもわかってくれそうだ」という先入観をもって望まないほうがよいでしょう。
不特定多数に発信されるSNSは、ときに炎上も

次にSNSやブロクでの広報や拡散についてですが、不特定多数の人が見るということを頭においておくべきです。
主張の全部、ニュアンスまでふくめて文字で完璧に表現することはできません。気持ちが伝わる人もいれば伝わらない人もいます。どちらかというと、わかってくれる人は読んだ人の半数くらいに考えたほうが無難です。
とりわけ、長文、感情的な言葉の羅列、断定的な物言い、自分は被害者だから同情されてあたりまえ、わからない・理解できないほうが悪い……というようなことが強くにおうような文面は、なにも知らない人に伝えるのは難しいのです。
自分の主張を肯定してくれたり、「いいね!」してくれる人が多ければうれしいですが、実際に協力してくれたり、現実的な力になるかどうかは別の話です。
SNSで論争になったり、けんかしたりしてしまうのは、時間とエネルギーの無駄だとボクは思います。とにかく、文章で広報し、支援を頼みたいときは丁寧さが必要です。
炎上は避けたいですが、炎上してしまったら「切断」「無視」「閉鎖」し、それでいちおう決着したほうがよいと思います。書きこみなどやレスを読んで自分が傷つくことがわかっていたら読む必要はありませんし、読むべきではないでしょう。
誰であろうとも、ネットで見ず知らずの相手を攻撃して溜飲を下げるのは、品位もない痛ましいかぎりです。どんなときでも礼儀や公正さ、冷静さは必要です。

結論
「マスコミ、ネットでの『広報』は、批判もある程度覚悟のうえで、あくまで冷静に!」

前回 連載5 先生にいいたいことを伝えたい!(中級編その2)

 おかざき・まさる

1952年愛知県名古屋市生まれ。小学校教員43年め。フリースクール「アーレの樹」理事。1998年より「お・は」編集人。きょうだい誌「ち・お」編集協力人も務める。著書に『きみ、ひとを育む教師ならば』『ガラスの玉ねぎ こどもの姿を写し出す1年白組教室通信』(ともに小社刊)、『みんなでトロプス!』(風媒社)、『学校再発見!』(岩波書店)、『新・子どもと親と生活指導』(日本評論社)、『センセイは見た!「教育改革」の正体』(青土社)、共・編著に『友だちってなんだろう』(日本評論社)、『がっこう百科』(小社刊)など。

 

 

おそい・はやい・ひくい・たかいNo.106
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