予防接種、基本から

2019年1月10日

予防接種、基本から
保育士・「ワクチントーク全国」事務局長
青野典子

連載7 Hib・肺炎球菌ワクチンで、知っておきたいこと

約7年で72人の死亡報告……にもかかわらず

Hibワクチン・小児用肺炎球菌(PCV)ワクチンを、国がすべての赤ちゃんにすすめたのは2010年のことです。
それまで厚労省の審議会では「日本ではこれらのワクチンの病気で重症化する子がアメリカやイギリスにくらべ非常に少ないので、すべての赤ちゃんにすすめるべきワクチンではない」ということが話されていました。しかし、「ワクチンがある病気はすべてワクチンで防ごう」という運動が強くなり、強引に導入されました。
2011年2月にはHib・小児用肺炎球菌ワクチンをふくむ同時接種後の死亡報告が続き、一時中止したものの、因果関係がわからないということで再開し、2013年に定期接種に入っています。
その後報道されることはありませんが、毎年14人ほどの乳幼児が、両ワクチン以外もふくめワクチン接種後まもない時期に死亡しているという報告が審議会にあがっています(*1)
Hibワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンを見ると、2011年2月から2018年3月までに両ワクチンをふくむ同時接種後の死亡報告は63人。どちらかの単独接種後の死亡報告が9人、あわせて72人になります。
ワクチンの種類と接種回数の多さから、定期接種・任意接種すべての予防接種を受ける場合、同時接種は避けられないといえるでしょう。単独接種後の死亡報告も、その1週間前に同時接種を受けているという場合もあります。
一方、2017年末までに、死亡例でワクチンによる被害と認定されたのはHibワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンと4種混合ワクチン(DPT‐IPV)を同時接種した1歳男児1人だけです。否認された子は10人です(*2)
認定数はHibワクチン13人、小児用肺炎球菌ワクチン16人で、同時接種が多いため認定された人数は17人です。このうち1人は前記したように死亡、2人が障害児養育年金の支給です。ほかは医療費・医療手当の支給です。
障害児養育年金を支給された2人は以下です。
・1歳・女 4種混合(DPT-IPV)・MR・Hib・小用肺炎球菌(PCV)の同時接種/急性脳症後遺症
・1歳・男 4種混合(DPT-IPV)・水痘・Hib・小用肺炎球菌(PCV)の同時接種/急性脳症・知的障害・てんかん・右片麻痺
審議会資料に掲載されている死亡や後遺症例の多くが、救済制度への申請さえされていないのが実態です。
*1 データの見方は簡単ではありませんが、たとえば近年の死亡報告数は、厚労省HP「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」〈https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_284075.html〉の資料より、「百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ」などの報告がある部会の「ワクチンに関する死亡報告一覧」と、「麻しん、風しん、おたふくかぜ」などの報告がある部会の各ワクチンの「副反応疑い報告状況」を合計するとわかります。
*2 認定や否認の結果は、厚労省HP「疾病・障害認定審査会(感染症・予防接種審査分科会)」〈https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-shippei_127696.html〉の「審議結果」より確認できます。
予防接種で肺炎球菌感染症にかかってしまう……!?
予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会には各ワクチンの「副反応疑い報告状況」が載っています。小児用肺炎球菌ワクチンが定期接種に入ったころから審議会で問題になっていましたが、肺炎球菌ワクチンを接種して肺炎球菌に感染してしまうなど、ワクチンの効能効果に関する報告が相次いでいます。
「副反応疑い報告状況」のなかの「症状名」には「薬効欠如、肺炎球菌菌血症」「肺炎球菌性肺炎」などが記されています。小児用の13価肺炎球菌ワクチン(PCV13) では、2013年11月~2017年10月の副反応報告数1074例のうち、効能効果に関する報告は275例です。高齢者対象の23価肺炎球菌ワクチンでは、2013年4月~2018年8月までに副反応報告数は1133例で、効能効果に関する報告が258例です。
2018年審議会には1歳の女の子が、13価肺炎球菌ワクチンを接種後、侵襲性肺炎球菌感染症を発症し、死亡したという報告があります。ワクチンはこの病気から守ろうとして接種しているのですが。
ワクチンに入っていない肺炎球菌の型が増加

肺炎球菌は90種類くらいの型がある常在菌で、3歳くらいまでに8割ほどの子が感染しているものです。13価ワクチンはそのうちの13種類の型が入っているワクチンということになります。肺炎球菌感染症に罹患した子の血清型から多い型を選んでワクチンを作っているのですが、ワクチンに入っていない型に感染してしまう割合が増えている(ワクチンに入っていない型に置換される)ことも問題です。
2010年2月~2011年3月の216症例では90.7%がワクチンの型でしたが、2011年4月~2013年6月の227症例では66.1%がワクチンの型でした(平成25年度第1回庵原・神谷班 班会議資料より)。つまり、2013年11月の13価ワクチン導入時すでに、3割強がワクチンに入っていない型に感染していたということになります。
血清型の置換は、ワクチン導入前からアメリカやイギリスの報告でわかっていたことでした。日本において最初に導入した7価ワクチン(PCV7)に代わり、13価ワクチンを導入することでその置換がカバーされるかのように報道されましたが、さらに置換が進む結果となっています。2017年には罹患した人の血清型は13価ワクチンに入っていない型が96%となっています。
日本では、高い接種率で接種された結果、欧米よりも高い置換率となり、さらなるワクチンの開発が求められると報告されています(国立感染症研究所HP「IASR 13価小児用肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)導入後の小児侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の現状」https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2432-iasr/related-articles/related-articles-461/8167-461r04.htmlより)。
小児用肺炎球菌ワクチンは、2013年より定期接種に入り90%以上の子が受けているにもかかわらず、ワクチンに入っていない型が増え、次の表のように患者報告数は増加しています。死亡率も下がっていません。このワクチン、必要ですか?

出典:IASR Vol. 39 p107-108: 2018年7月号(国立感染症研究所HP〈https://www.niid.go.jp/niid/ja/id/1372-disease-based/ha/streptococcus-pneumoniae/idsc/iasr-topic/8163-461t.html〉)
(次回は4月下旬更新予定)

前回 連載6 生ワクチン、2回接種は必要か?

*さらにくわしく!
「ち・お」117号『予防接種は迷って、悩んでもいいんだよ。』(青野典子、山田真、小社刊)
『新・予防接種へ行く前に 改訂新装版』(ワクチントーク全国編、小社刊)

あおの・のりこ
1952年新潟県生まれ。保育士。予防接種についてみなで勉強し、 語りあい、行動する市民団体「ワクチントーク全国」事務局長。「ち・お」編集協力人。著書に、「ち・お」117号『予防接種は迷って、悩んでもいいんだよ。』(共著、小社刊)など。

 

 

 

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