2020年7月25日刊行
内田良子 著
特集
「不登校」「ひきこもり」の子どもが一歩を踏みだすとき
学校に行きたくない理由はさまざまです。
どうして? と問われても、子どもは言葉にならない傷をすでに負っているかもしれません。
少し様子を見ようと、親のほうに余裕があるうちは不登校が許されますが、親にも事情があり、不安も募り、心配は日ごとに高まります。
つい、声を荒げたり、なだめたり、気持ちの焦る人は学校以外の居場所を探したり。
親のよかれと子どもの願いはいつもすれちがい、気がつけば子どもは迷路のなか。「明日は学校に行きたい」というときは、「今日は学校へ行かれない」という訴え。心の傷は小さく見えても、そう簡単に癒されるものではない。
休息が必要なときに背中を押せば、その勢いで登校をはじめても、やがて疲労困憊して、心を閉ざし「ひきこもり」という抵抗がはじまります。
不登校は、親子の豊かな時間になるはずなのに。
高校だけは、やっぱり大学にも……と親の思いが強くなるほどに、学歴よりもかけがえのない大事なものを見失う。
でも、それでは、どうやって生きていくの?
心配や悩みのつきない方はぜひこの本を開いてみてください。
定価(本体価格1,600円+消費税)
四六判/192頁/ISBN978-4-88049-659-7
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目 次
〈おそい・はやい・ひくい・たかい〉を編むにあたって 2
岡崎 勝(〈お・は〉編集人/小学校教員)
「不登校」「ひきこもり」の子どもが一歩を踏みだすとき
内田良子(心理カウンセラー)
はじめに
一本の細い道 13
Ⅰ 学校に行かなくてもいいんですか?
心理室から「モモの部屋」へ 18
相談の場で子どもたちが教えてくれたこと
心理室で子どもたちの具合がよくなった 20
一歳八ヶ月の子でも話せばわかる 22
見えてきたのは、身体症状と学校生活との関係 25
学校は行かなくてもいい 28
学びは誰のためにあるのか 30
自分の力で考えること 32
子どものいうことを信頼する 34
心配や悩みごとが言葉として出てくるとき 35
なぜ、子どもを追いこむのか
子どものことがわかりはじめるとき 38
答えは子どもが教えてくれる 40
人生の荷物は人に預けない 42
「登校拒否」だった子ども時代 44
まずは疑ってかかる 46
自分を守ってくれたもの 48
「いじめられている」といえない子どもたち 49
「いい母親」を演じるプレッシャー 51
親子が対等な関係になるために 53
子どもから問われるのは、親の生き方 55
Ⅱ 親子の和解と修復のものがたり
子どもの傷と周囲の気づき 58
1 基本になること
(1) 危険な場所には近づかないこと 60
(2) なぜ、人がこわいのかを知る 60
(3) 二度めの傷は大きな痛みをともなう 62
(4) 傷口を広げないための近道 63
(5) 親子関係の断絶を招くとき 63
(6) 不安をもちつづけたときに起きる症状 64
(7) ゲームは命の浮き輪 65
(8) なにか理由があるのではないか、と思いをめぐらせる 66
(9) こだわりが強くなるとき 67
(10) 親が、日々傷つけ直していることに気づく 68
(11) 親子関係が険悪になったら 69
2 親が変わるとき
(12) 体験を語り伝えあう 70
(13) 父親の理解で改善すること 71
(14) 体験を共有する先に 72
(15) 親の人間的な成長 73
(16) 親自身の不安の実態が明らかになる 74
3 話を聴くこと、話をすること
(17) 最後まで聴く 77
(18) 親にほんとうの話をするとき 78
(19) 一部始終を話せるようになるには 80
(20) 働きはじめて……過去に負った心の傷の修復 81
(21) 信頼の基本 83
(22) 夫の話をよく聴けるようになる 84
(23) 「なにを迷っているの?」という問いかけを 85
(24) つらい思い出を語る 87
(25) だから、話の腰を折らない 89
(26) 傷ついた隣人の話を聴く距離感で 91
(27) 心の傷が回復するということ 92
(28) 専門家に委ねなくても 94
(29) 和解のとき 95
(30) 助け舟はいらない 96
4 親が心すること
(31) 必要なのは、屋根と寝床と食事、そして時間 98
(32) 医療に頼ることで起こるのは 100
(33) 発達障害という誤解 101
(34) 薬を知る 102
(35) 「助けて」をいわない子への注意 103
(36) 「NO」をしっかり受けとめる 105