11歳ー18歳 20歳- 7歳ー10歳 おそい・はやい 思春期・自立 親のあり方

おそい・はやい・ひくい・たかい No.112

2021年12月25日

2022年1月25日刊行 
岡崎勝 宮台真司 著

特集

子どもに語る前に
大人のための「性教育」

「性教育」は、愛と責任と多様性への深い考察と、大人の覚悟が必要。

生き物としての仕組みや社会的な規範を語る「性教育」では、なにかが足りない。日本の「性教育」は「純潔教育」にはじまり、性交と中絶や病気、出産と家族愛を語る授業が主だった時代を経て、いま、ジェンダー、多様な性、性的同意、性加害被害の問題がテーマとなっている。

「性のことをうまく伝えることができない……」という大人たちの声に、社会学者・宮台真司と『お・は』編集人・岡崎勝が織りなす一大特集。
なぜ、いま二人は「性や愛の教育」を重視したのか。続編次号『こども性教育』につながる大人の予習編。永久保存版。

定価(本体価格1,600円+消費税)

四六判/192頁/ISBN978-4-88049-662-7
 
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目 次
〈おそい・はやい・ひくい・たかい〉を編むにあたって 3
岡崎 勝 〈お・は〉編集人/小学校教員

子どもに語る前に大人のための「性教育」
岡崎 勝(小学校教員)/宮台真司(社会学者)

1時間目 そもそも「性教育」って、なんですか?

学校の「性教育」に期待できるか? 12
三つの柱は「身体の仕組み」「人権教育」「性愛」/親の関心が高いのは「性犯罪・性暴力」/「性愛」の経験値が低い、教員や親たち
教員にも親にも「性教育」の資格はない。その理由は……? 17
一九八〇年代、「新住民化」で変わった生活環境/公園で焚き火ができた時代/昔の子どもたちが外遊びで学んだこと/「身体でつながる感覚」が生まれるとき/「性交」にも必要な「コール&レスポンス」の態勢/「セックスは作業」となった現在
性的退却が進んだいま、失われているのは? 28
「性の過剰」さがあったころ/先輩や同級生、変なおじさんとの関係のなかで/親や教員は絶対に教えられないこと
「性教育」では得られないものは? 33
学校で「性」を学ぶことが退却につながる?/大切なのは「知識」よりも「動機づけ」/ポジティブな「動機づけ」が得られるかどうか

2時間目 「性」とは、なんだろう? 「愛」とは、なんだろう?

「性愛」の劣化を防ぐことはできるのか? 38
親が「性」を教えようとすることの悪循環/親は「愛」を子どもに学ばせる存在/「社会」に適応すると「性愛」は劣化する/「性愛」「友愛」に必要な「贈与」の構え
親もダメ、教員もダメ。子どもたちを導くことができるのは? 44
トラブルやリスクを避けたい大人たち/日本の親はもともと子育てのノウハウを知らない/「言葉・法・損得の外への開かれ」を促すには/「同じ世界を生きている」と思える条件/「コンテンツ教育」と「パントマイム教育」/体験を伝える「旅芸人方式」で/「性」と「愛」を伝えるときには/ワークショップの入口が「性」であるべき理由
「性」に関して、法や条例は有効? 56
「性」問題に対する厳罰主義/援交ブームから起こった条例制定/かつて当たり前だった教員と生徒の交際/いまの民主制で解決できないのは/新住民が民主主義で地域を壊す/「友愛」と「性愛」を欠いた尊厳はない/五〇年間の長い「空っぽ」/「社会」の代わりをする「世間」が消えた/法律や条例を変えても日本はダメ/「友愛」と「性愛」の劣化を「性愛」から切り開く/「性愛」の能力と関係する「友愛」と「公共的関心」
「危険」を子どもに、どう知らせる? 69
子どもに疑うことを教えるのが「性教育」?/「性愛」の経験は知識では補えない
「性愛ワークショップ」本当に学ぶべき、その中身は? 74
セックスを通じて「絆をつくる」/「アメーバになる」ことで「愛」を育む/性交の「アフォーダンス」と日常の「ミメーシス」/「愛の意味論」を理解する/「損得を超える構え」の入口は損得/〈前半プロセス〉での勘違い/「社交術」の本質とはなにか/一喜一憂からの解放としての「社交術」/「歩留まり的な構え」との違い/〈前半プロセス〉を支えるオーネスティ/〈前半プロセス〉と〈後半プロセス〉のつながり/「性交」の中身に踏み込まずに語れること/相手の目を見る、相手の手を握る/田中泯の「場踊り」を導きの糸にする/「雰囲気」にのまれることとの区別/「育ちの悪い大学生」にどう働きかけるか/決まりを破るだけで入れる「同じ世界」
「性の多様性」を、どう捉える? 101
学校では「認めよう」という流れはあるものの/性的な対象が絞り込まれていない思春期のころ/三人に一人がゲイ、背景を理解する/自分のなかにいろいろな人がいるという感覚

3時間目 「幸せ」な大人になるには、どうしたらいいですか?

「リスク管理」は大事ではない? 108
枠の外に出てしまう怖さ/学校の外で得られるドキドキする体験/共犯関係から始まること/不幸や悲しみなしに「愛」は得られない
「愛」を、どう伝えるか? 113
予定調和の「性愛」はありえない/体験教育に使える韓国ドラマ/「愛」は社会のカテゴリーを超える
「責任」を、どう考えるか? 117
道徳教育に用いるべき一九六〇年代作品/「自己決定」できず、「自己責任」が推奨される日本/八〇年代以降当たり前になった「安心・安全」への要求
大人が「覚悟」すべきことは? 122
失敗を恐れる子どもたち/教員・親に必要なのは罰せられてもいいという構え/子どもにとって有効なことをやりつづけるには/学校に期待しない、そこから始める
課外授業 親の私たちに、教えて宮台さん! 127

授業のあとで

「性愛」の「魅力・誘惑」を大切にすることで、人は一人前になる 135
岡崎 勝 小学校教員
「性教育」ならぬ「性愛教育」が不可欠な理由 140
宮台真司 社会学者

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