予防接種、基本から

2021年10月15日

「ワクチントーク全国」事務局長/「ちいさい・おおきい・よわい・つよい」編集協力人
青野典子

連載15 新型コロナワクチン、副反応検討部会の資料から見えること

厚労省が発表する膨大な資料は、どのように読み解けばよいのでしょう。
接種が進むにつれて、データは更新されます。青野さんのやり方を参考に、ぜひみなさんも確かめてみてください(*1)。(編集部)

 
副反応疑い報告の実態は

 この原稿を書いている2021年7月末、新型コロナウイルス感染症の感染拡大がとまらず、東京と沖縄に「緊急事態宣言」、埼玉・千葉・神奈川・大阪に「まん延防止等重点措置」が出ています。
 そんななか、新型コロナ感染症との共存に大きく貢献しているといわれているのが新型コロナワクチンです。特例承認(*2)されたワクチンで、副反応や効果など多くのことがまだわかっていません。
 そのため、ほかのワクチンより「強制されない」「受けないこと(受けられないこと)で不利益を受けない」ことが報道されています。また、「健康被害が予防接種によるものであると厚生労働大臣が認定したときは、予防接種法に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられます」(厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」HPより)となっています。
 たしかに制度上は個人の判断が認められていますし、健康被害救済制度があります。しかし、実際はどうでしょうか?
 7月21日「第64回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第13回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(*3)」(以下、副反応検討部会)がWeb会議でおこなわれました。
 副反応検討部会資料(*4)によれば、2月17日~7月11日までに約6000万回のファイザーワクチン(コミナティ筋注)接種後に、製造販売業者より7480件(アナフィラキシー1853件)、医療機関より1万7877件(アナフィラキシー1776件)の副反応疑い報告があります。
 「接種から発症までの期間別報告数」(*5)を表にして公開しています。「アナフィラキシー・けいれん・ギランバレー症候群・急性散在性脳脊髄炎(ADEM)・血小板減少性紫斑病・血管炎・無菌性髄膜炎・脳炎/脳症・関節炎・脊髄炎・心筋炎・顔面神経麻痺・血管迷走神経反射/失神を伴う」の13項目について記してあります。接種後の健康観察の最低限の期間として参考になるかと思います。
 また、7月11日までの死亡報告(*6)は663人。7月12日~16日に83人。合計746人になります。遅れて接種が始まったモデルナ(5月22日~7月16日、約200万回の接種)では5人の報告です。
 死因は、多い順に「心不全・虚血性心疾患・肺炎・出血性脳卒中・心肺停止・大動脈疾患・虚血性脳卒中・老衰・敗血症・不整脈・窒息・呼吸不全・溺死・静脈血栓症・心タンポナーデ・アナフィラキシー・消化管出血・腎不全」です。
 死亡報告746人のデータを数えたところ、26.7パーセントは接種翌日までの死亡報告。49.8パーセントは接種3日後以内の死亡報告です。20歳~39歳が10人、40歳~64歳が33人、ほかは若干の不明を除き65歳以上ということになります。最高年齢105歳です。いまのところ1件も因果関係を認めていません。

 
大きくなる善意の圧力

 例年のインフルエンザ予防接種は年に5000万回程度接種され、数人から十数人の死亡報告です。2009年新型インフルエンザのときは133人の死亡報告がありました。
 このときに認定されたのは4人です。今回の新型コロナワクチンはわずか6ヶ月で746人、一般接種・職域接種が始まり、徐々に若い年齢の死亡報告も増えています。
 いままでのワクチンとはちがう新しいしくみによるワクチンですから、未知の副反応があることは想定内のはずですが、幅広く認定していく方向性は感じられません。また、集団接種がおこなわれるなかで、3回めの接種をした、原液を接種した、使用済み注射器で接種したなどさまざまな誤接種も報道されています。
 「新型コロナに感染(約85万人)して亡くなった人(約1万5000人)よりワクチン接種後に亡くなった人は、圧倒的に少ないから、予防接種はメリットのほうが大きい」といわれ、感染するよりましだと判断した方が接種していると思います。
 私は30年あまり厚労省の予防接種後副反応(疑い)報告を調べてきましたが、死亡など重篤なケースにならないまでも、接種後に発熱、倦怠感などで寝こむのがあたりまえというワクチンは知りません。副反応の実態調査と検証を望みます。
 また、私自身も、職場、家族、知人、友人、医療者による「善意」による「接種したほうがいいですよ」という圧力が日に日に大きくなっていると感じています。さまざまな情報を得ながら、接種をしない(見あわせる)という判断をする人の、予防接種法で認められている権利が侵害されないようにと思います。

 

*1 厚労省HP「厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討会)」参照。
*2 特例承認……厚労省HP「医薬品医療機器等法に基づく新型コロナウイルスワクチンの特例承認について」参照。
*3 第64回厚生科学審議会~(合同開催)……当日の資料はこちらを参照(厚労省HP)。
*4 資料……*3の資料1-1-1資料1-2-1参照。
*5 「接種から発症までの期間別報告数」……国立感染症研究所ホームページより、医療機関報告はこちら、企業報告はこちらの各5・6ページ参照。
*6 死亡報告……ファイザーワクチンは*3の資料1-3-1、モデルナワクチンは資料1-3-2、死因は資料1-5-1参照。

 
本連載は、本誌とHP「連載を読む」の同時掲載です。以下は、10月4日、および17日時点でのトピックを青野さんに補足いただきました。ホームページのみでの掲載となりますことご了承ください。(編集部)
 
新型コロナワクチン接種後の死亡報告数(2021年10月1日副反応検討部会)

 期間中、ファイザーは約1億2000万回、モデルナは約2000万回接種されましたが、死亡報告が以下のようにあげられています。
 なお、モデルナは職域接種が多いため、65歳未満の率が高くなっていると思われます。

 表中の「死亡までの日数」の割合をグラフにすると、以下のようになります。

 第69回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第18回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)、ファイザーは資料2-3-1、モデルナは資料2-3-2より。
 

新型コロナ感染による死亡数とワクチン接種後の死亡報告数、30代までの比較

〈新型コロナ感染による死亡数(9月15日まで)〉
10歳未満0人、10代1人、20代16人、30代50人
第24回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料1より。
〈新型コロナワクチン接種後の死亡報告数(9月24日まで)〉
10代3人(2人―1人)、20代14人(11人―3人)、30代15人(11人―4人)
*( )内は、(ファイザー―モデルナ)。ファイザーは10月1日副反応検討部会資料2-3-1、モデルナは資料2-3-2より。
 

新型コロナワクチンによる副反応が初認定(2021年8月19日疾病・障害認定審査会)

・認定29人(疾病名・障害名:アナフィラキシー、アナフィラキシー様症状、急性アレルギー反応)、保留12人、否認0人
・請求内容はすべて医療費・医療手当(保留分も)
・年齢(認定者―保留者) 10~19歳(0人―1人)、20~29歳(5人―0人)、30~39歳(6人―2人)、40~49歳(9人―2人)、50~59歳(5人―3人)60~64歳(3人―1人)、65歳~(1人―3人)
・死亡認定なし
*第143回疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会資料より。
 以下に、注目される副反応疑いの報告件数を紹介します。心筋炎は若い人に多いことが報道されていましたが、実際に20代男性の報告が多くなっています。
 新型コロナに感染後の死亡数と新型コロナワクチン接種後の死亡数、心筋炎の副反応疑い報告などをくらべ、接種の参考になるのではないでしょうか。
〈アナフィラキシー疑いの報告件数〉
・ファイザー:医療機関より2262件、製造販売業者より2536件(2/17~9/12)
・モデルナ:医療機関より362件、製造販売業者より389件(5/22~9/12)
*医療機関からの報告は、10月1日副反応検討部会資料2-1-1、製造販売業者からの報告は資料2-2-1より。
*期間中の接種回数(推定)は、ファイザー:1億2278万9441回、モデルナ:2344万7233回。
〈心筋炎関連事象疑いの報告件数〉
上の表をグラフにして表すと以下のようになります。

*製造販売業者からの報告は、10月1日副反応検討部会資料2-7-1より。医療機関からの報告は、資料2-7-3より。
〈血小板減少症を伴う血栓症・血栓塞栓症(TTS)疑いの報告件数〉
ファイザー:製造販売業者より23件(8/3~9/12)
モデルナ:製造販売業者より1件(8/3~9/12)
アストラゼネカ:医療機関より1件(8/3~9/24)
*ファイザーは、10月1日副反応検討部会資料2-5-1、モデルナは資料2-5-2、アストラゼネカは資料2-5-3より。
*期間中の接種回数(推定)は、ファイザー:3439万4470 回、モデルナ:1393万1035回、アストラゼネカ:4万904 回。
 

イスラエルにおけるブレークスルー感染について(2021年9月17日予防接種・ワクチン分科会)

 イスラエル保健省の住民データを用いた分析によれば、ファイザーワクチンを2回接種した17歳以上の国内居住者478万5245人のうち、1万2927人がPCR検査陽性、うち348人が重症化。すべての年齢層において、ワクチン接種後時間経過とともに感染率及び重症者発生率が上昇する傾向が確認されました。
 そのため、重症化予防効果、感染予防効果を高めるために追加接種を始めたということです。
第24回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料4より
 

新型インフルエンザワクチン、1人死亡認定(2021年8月19日疾病・障害認定審査会)

 2009年の新型インフルエンザワクチンによる死亡報告のうち、2021年8月の審議会で1人認定されました。認定された計5人の接種年齢は5歳、84歳、60歳、57歳、77歳、今回認定されたのは、77歳の方です。
*第143回 疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会資料より。
(以上10月4日補足)

10代・20代の男性への心筋炎関連事象疑いに注意喚起(2021年10月15日副反応検討部会)

 10月15日の副反応検討部会で心筋炎関連事象疑いの新たな報告があり、注意喚起が出されました。10代、20代の男性はモデルナではなくファイザーを打つようにという内容です(第70回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第19回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)参考資料7)。
 製造販売業者からは、以下のように心筋炎関連事象疑いが報告されています。いずれも若い男性で2回目接種後に多く報告されています。

 資料1-1-1より。
 厚労省の情報を見るかぎり、「10代20代の新型コロナ感染による死者や重症者は少ない。しかし心筋炎関連事象はワクチン接種後にくらべ自然感染のほうが確率は高い」と報告されています。
 新型コロナ感染後の後遺症も日々報道されているところです。接種することを選択する場合は心筋炎関連事象の報告の少ないファイザーということになるでしょう。
 いずれにしてもリスクのない選択はできません。仕事上の都合やご家族を施設に預けているなど、判断するための社会的理由もあると思います。情報も変わってきます。それぞれの立場でよりよい判断ができることを願い、情報提供をしていきたいと思います。
(以上10月17日補足)
 
※以上、10月4、17日の補足における資料リンクは厚労省HPより。2021年10月17日閲覧。
 
前回 連載14 新型コロナワクチン、接種を検討するまえに

あおの・のりこ
1952年新潟県生まれ。保育士。予防接種についてみなで勉強し、 語りあい、行動する市民団体「ワクチントーク全国」事務局長。「ち・お」編集協力人。著書に、「ち・お」117号『予防接種は迷って、悩んでもいいんだよ。』(共著、小社刊)など。

 

 


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