予防接種、基本から

2020年1月16日

「ワクチントーク全国」事務局長/「ちいさい・おおきい・よわい・つよい」編集協力人
青野典子

連載11 同時接種……あきらかに、こどもに負担がかかること

15年前をふり返ってみると
赤ちゃんが1歳になるまでに受ける定期の予防接種は、Hib、PCV(肺炎球菌)、B型肝炎、DPT-IPV(四種混合)、BCGの5種類で接種回数は13回になります。2020年10月からはロタワクチン(2回か3回の経口接種)も導入されることが決まっています。
1歳代ではさらにHib、PCV、DPT-IPVのそれぞれ追加接種、MR(麻しん・風しん混合)1回め、水痘1回め2回め接種があります。接種回数にすると6回です。
予防接種の接種間隔は、生ワクチン接種後は27日以上、不活化ワクチン・トキソイド接種後は6日以上の間隔をおくことが2005年に決まりました。当時1歳になるまでに3種類のワクチンを計6回接種でした。1歳代では、3種類のワクチンを計3回接種でした。

2005年発行の『予防接種の手びき』(木村三生夫ほか編著、第10版、近代出版)に、接種間隔を一定期間あける理由が書いてあります。
① 先行する予防接種による発熱などの副反応が出るかもしれない期間を余裕をもって避ける。
② 生ワクチン同士の場合は、ウイルス同士の干渉やインターフェロン(*1)の産生によってワクチンの効果が上がらない恐れがある、などの理論的理由によっている。(『予防接種の手びき』)
(日本ワクチン産業協会発行『予防接種に関するQ&A集2016』にも同理由が記されています)。
同時接種についても記載があります。
2種類のワクチンの同時接種(混合ワクチンを使用する場合を除く)は医師が特に必要と認めた場合に行うことができる。(『予防接種の手びき』)
とくに必要と認めるのはどんな場合を想定しているかというと、次のように続きます。
外国へ行くなどの事情で時間的に急いで接種を受けたい人を念頭においたものである。外国ではDPTワクチンとポリオを同時に接種するなどを行っているが、わが国では特に勧める必要もない。
麻疹風疹混合(MR)ワクチンが実用化する(筆者注 2006年より定期接種に導入)までの間、麻疹生ワクチンと風疹生ワクチンとを別の腕に同時に接種してあげるという医師があっても違法ではないが、お勧めはしない。(同書)
現在も接種間隔や「同時接種は医師がとくに認めた場合に接種できる」という決まりは変わっていません。
しかし、生ワクチンも不活化ワクチンも、右手・左手・右足・左足・もう一度右手などと次々同時接種されています。
なお、同じ日に同じ病院で連続に接種する場合については、同時接種のあつかいとなりますが、その場合を除いて、決まりどおりの接種間隔をあけることになっているようです。
死亡報告はほとんど認定されず
同時接種後の死亡はほとんど認定されていませんが、報告はあいかわらず続いています。
日本小児科学会は、「おたがいのワクチンによる干渉はない、有害事象も副反応の頻度もあがらない、本数に原則制限はない」としていますが、「明らかにストレスをかけるのは事実」として審議会で意見を述べる委員もいます。

2019年6月28日の「第41回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」議事録(*2)に、委員が「死亡症例の中の生後3か月4か月の子たちに、5種、6種ワクチンを同時に打つというのは、子供たちのどの程度の年齢から許されるのかというデータはないと思うのです。だけど、明らかにストレスをかけるのは事実だと思うのです」と述べています。
ただし、続けて彼は、アメリカではこどもの負担軽減のために痛みどめが使われており、日本でもそれが使えるシステムが必要であると述べていますが、痛みどめによって、ワクチンの体への負荷がなくなるわけではありません。
2019年5月17日の「第131回疾病障害認定審査会 感染症・予防接種審査分科会審議結果」(*3)に、生後2ヶ月でHib+PCVを接種、3ヶ月に入ってDPT-IPV+B型肝炎を接種、さらに3ヶ月でHib+PCVを接種したのち副反応が出て障害が残り、医療費・医療手当と障害児養育年金を請求し否認されたケースがありました。
なにが原因か解明できないにしてもあきらかにこどもに負担がかかることをしつづけたわけですから、認定すべきでしょう。安全だというデータがないことをしているのですから、接種後に報告されていることを、もっと真剣に調査検討すべきです。
※本連載は、前号まで弊社HPに掲載していましたが、今号より本誌とHPの同時掲載となりました。(編集部)

*1 インターフェロン……ウイルスに感染した細胞でつくられ、ウイルスの増殖を抑制するたんぱく質。
*2 「第41回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」議事録(厚生労働省HP)
*3 「第131回疾病障害認定審査会 感染症・予防接種審査分科会審議結果」(厚生労働省HP)

撮影 小山田喜佐

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あおの・のりこ
1952年新潟県生まれ。保育士。予防接種についてみなで勉強し、 語りあい、行動する市民団体「ワクチントーク全国」事務局長。「ち・お」編集協力人。著書に、「ち・お」117号『予防接種は迷って、悩んでもいいんだよ。』(共著、小社刊)など。



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