「Chio通信」より 

2018年6月8日

「Chio通信」より番外編
日本消費者連盟顧問
富山洋子

84歳、洋子さんのいただきます

◆富山洋子さんがおすすめする季節のレシピとエッセイのこのコーナーは、いつもは「Chio通信」に掲載しています。
ところが、7月刊行の「Chio通信」06号は、急遽「ち・お」元編集代表、小児科医・毛利子来さんを追悼する特別号としましたため、暑い夏にこそのレシピ、そしてエッセイを掲載できませんでした。富山洋子さんにお詫び申しあげ、こちらのホームページでみなさんにご紹介いたします。
富山さんの大好きな夏のはじめに、鶏むね肉のさっぱりレシピ、そしていのちをめぐるエッセイです。

 

夏にむけて、さっぱりと
鶏むね肉の酢じょう油漬け

材料(3~4人前)
・鶏むね肉のかたまり 300~400グラム 
・ニンニクおよびショウガ 少々 
・調味料: 
しょう油 1カップ
酢 2分の1カップ
みりん 大さじ3~4
砂糖 大さじ1程度(かくし味)
作り方
1、調味料をあわせ、鶏肉のかたまりが入る大きさの容器に入れ、ニンニク・ショウガをすりおろして、調味料に混ぜておく。
2、鶏肉の皮がついていない側に、2センチ程度の間隔で1.5センチ程度の深さの切れ目を入れる。
3、熱したフライパンに、ごく少量の油を注いでなじませてから、まず鶏肉の皮を下にして焼きはじめる。焼くときは、中火にする。
※火加減のコツをつかめれば、油を使わなくてもよい。
4、鶏肉は、ステンレスの長箸か竹ぐしで、身のあちこちをつつきながら焼いていく。はじめは赤い汁が出てくるが、しばらく焼くと、肉汁が白っぽくなる。
5、そのころあいを見て鶏肉を返し、身を焼く。
6、肉全体が白っぽくなってきたら、ふたたびひっくり返し、赤い肉汁が出ないことを確かめて、漬け汁に浸す。
7、少なくとも半日以上は漬けこみ、食べるときにそぎ切りにする。

 

あなたにメッセージ

いのち燃え立つ夏のはじめに

私は6月を迎えると、「ぬちどぅたから」という、沖縄で言い伝えられている言葉を想い起こします。
私の誕生日6月30日は、まだ梅雨があがらず、日本列島では、もっとも雨が多い季節です。
でも、いのちが燃え立つ夏はすぐ近くまできています。
夏は、人間ばかりではなく、大地や海や川に息づく生き物たちが、いのちを謳歌する季節ですね。
しかし、戦中世代の私は、戦争によって、燃え立つ夏を迎える喜びが打ち砕かれてしまうことを、心身に深く打ちこんでいます。
1945年6月23日、戦争がなければ、生き物たちがいのちを謳歌していたにちがいない季節に、沖縄では苛烈な地上戦の末、日本軍は米軍に投降しました。
この地上戦では、日米あわせて20万人以上のいのちが奪われました。
日本側の死者の半数は民間人であり、当時の沖縄県民の4人に1人が殺されたのです。
もとより日本という国家は、はがき1枚の徴集令状(※1)で、いわゆる民間人を殺し殺される戦場に送りこみました。
沖縄では、すべての中等学校(※2)の10代の生徒たちが戦争に駆り出され、過半数の生徒たちのいのちが奪われました。
この暴挙は、法的根拠もないままに執行されたと、大田昌秀さん(元沖縄県知事)は怒りをこめて述べています。
そしていま、日本の国土面積のわずか0.6%である沖縄に、在日米軍基地の74%が押しつけられ、人はもとより、あらゆる生き物のいのちが脅かされつづけています。
この現状を許さず、かけがえのないいのちを、ともに守りぬいていきたいと思います。
※1 徴集令状……通常、現役での徴兵を「徴兵」、予備役・後備役での徴兵を「招集」と呼んで区別されていたが、アジア・太平洋戦争の末期のなると、区別されずに後者にも「徴集」をもちいることもあったといわれている。
※2 中等学校……旧制の中学校・高等女学校、実業学校の総称。現在の中学1年生から高校2年生にあたる学生たちが学んでいた。

 

 とみやま・ようこ

1933年岡山県生まれ。日本消費者連盟顧問。「ち・お」編集協力人。消費者や環境、平和のための運動に半世紀にわたってかかわる。著書に『子どもたちにつなぐ みんなの食べ方じてん』(小社刊)、『暮らしのなかのボイコット――消費者市民としての50年』(現代書館)など。