学校で困ったとき・先生を頼りたいとき

2019年5月9日

『おそい・はやい・ひくい・たかい』連載
小学校教員
岡崎 勝

この連載は、親御さんや学校で働くみなさんがもつ悩みや困ったことに、「お・は」編集人のボクが率直に答えていく連載です。
炎上覚悟(笑)! どうか、「参考」になればと思います。
もちろん本誌も読み応えがありますから、そちらもどうぞ。

連載5 先生にいいたいことを伝えたい!(中級編その2)

今回は面接のときに気をつけておくことを述べていきます。

5)記録をとりたいときは

話しあいは「結果オーライ」ということもありますから、記録を残すことなど必要ないともいえます。

しかしながら学校側と対立してしまう場合は、記録はあったほうがいいと思います。いった・いわないで重要な問題からどんどん遠ざかり、エネルギーだけが消耗してしまうこともあるのです。

ただ、二人で参加していればともかく、一人の場合には話しながら記録をとるということはなかなか難しいでしょう。ですから、まず「メモをとらせてください」と相手に了解を得ます。もちろん、学校も保護者が記録をとることを禁止することはしません。

録音や録画をする方法もありますが、相手にとって心理的にも抵抗が強いので、拒否されることも考えられます。

しかし、学校とそうとう険悪な関係になっている場合は、「録音をとったほうが、おたがいにいいと思いますよ」といって録音をしたほうがいいかもしれません(*)。こういう険悪な関係では、逆に学校側が保護者対策として「録音したい」ということもあります。

メモをとる場合は、話している途中で「ちょっと待ってください。いまメモをとりますから、ゆっくりおっしゃってください」といえばいいです。メモをとることは、相手の応答に慎重さを要求しますから、それなりに合理的効率的な話しあいになることが期待できます。

当然、こちらの発言も気をつける必要があります。両者とも常識的な品位は保持したいところです。

とりわけ記録しておいたほうがいいのは、保護者、つまり自分の要望や要求、問題になっていることの経過事実と、学校側からの今後の方策や提案です。

「証拠」といういい方はしたくありませんが、テキトウに処理されるのは困りますから、約束したことや認めたことははっきりさせておく必要があります。

*学校との関係が険悪な場合、後日、記録の写しを相手に渡し、「もし、まちがいがあれば申し出てください」と添え書きしておくといいです。それでなにもいってこなければ、両者の確認ができたと考えることができます。
6)感情、気持ちを伝えるときに

面接は、顔をあわせるということですから、こちらの想いや感情を率直に伝えることができます。

ボク自身の経験からいうと、保護者からの抗議的手紙の「過激さ」(笑)にくらべて、会ってみたらとても温厚だった……ということもあれば、逆もあります。

「感情的にならない」というのは難しいですし、感情が伝わらなければ「子どもを大事にしている」自分の気持ちも伝わらないこともあります。

逆に、学校側の教員のとまどい、困惑、誠意、熱意、敵意なども面接するとよくわかります。

ボクの教員としての失敗経験ですが、いじめの相談をされたときに困惑して笑みを浮かべたら、保護者から「笑いごとじゃないですよね」と指摘され、謝罪したことがあります。保護者の追い詰められた気持ちを十分に受けとめているつもりだったのですが、「なかなか出口が見つからないなあ」と思ったときについやってしまう、こうした失敗は誰にもありがちで、気をつけたほうがよいと教員にはよくアドバイスします。

話ながらつい泣けてしまったり、無性に腹が立ったりすることは誰でもあります。それは致し方ないことであり、我慢できないこともあります。

ただ、学校がそれに共感しているのか、困惑しているのか、見下しているのかはわかりません。わかってほしいという気持ちはありますが、相手に「過剰に期待する」のはやめたほうがボクはよいと思っています。

7)子どもの気持ちを、どう考える?

話しあいは、親が納得するためだけにするのではないと思います。あくまで、子どもが子どもなりに学校でふつうに過ごしやすくするためにするのです。

その意味でも、関係した先生や友だちに内省を求めることはあって当然です。

反省というのは「事実を認める」「相手に謝罪」「これからの自分の改善決意を表明」「今後の実行でそれを証明」という四段階を踏むものだとボクは考えています。

ここからはとくにはっきりいいますが、保護者がよその子どもを「加害者」と断定するのは慎重さが必要です。そういう彼らとこれからも自分の子はまた「学校でいっしょにやっていくことになる」かもしれないということを、念頭に入れておく必要があると思います。

そして、話しあいをしながら、自分の子どもに自分をふくめて家族はどうかかわっていくのかを考える必要があります。大切なのは、学校側と話しあったそのあとなのです。

*次回は上級編の訴訟について考えます。

結論
「話しあいはあくまで、子どもが学校で過ごしやすくするためのもの!」

前回 連載4 先生にいいたいことを伝えたい!(中級編その1)

 おかざき・まさる

1952年愛知県名古屋市生まれ。小学校教員43年め。フリースクール「アーレの樹」理事。1998年より「お・は」編集人。きょうだい誌「ち・お」編集協力人も務める。著書に『きみ、ひとを育む教師ならば』『ガラスの玉ねぎ こどもの姿を写し出す1年白組教室通信』(ともに小社刊)、『みんなでトロプス!』(風媒社)、『学校再発見!』(岩波書店)、『新・子どもと親と生活指導』(日本評論社)、『センセイは見た!「教育改革」の正体』(青土社)、共・編著に『友だちってなんだろう』(日本評論社)、『がっこう百科』(小社刊)など。

 

 

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