2020年6月5日刊行
山田真 石川憲彦 著
感染症への確かな基礎知識、社会変化に対してパニックにならないメンタルケア、
科学技術への反省、暮らしや教育や豊かさへの価値観の見直し……
昭和から平成時代の子育てや教育、医療現場で、発言を続けてきた筆者らが緊急提言。
ウイルスや細菌との共生、競争や孤立からの連帯を学ぶことに、未来は開かれていく。
山田真(やまだ・まこと)プロフィール
1967年東京大学医学部を卒業。以後、東京都八王子市の八王子中央診療所に勤務、その後同診療所理事長。自身も障害をもつ子どもの父親であり、能力主義や優生思想に対して積極的に反対の意見表明を続けている。『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』編集協力人。
石川憲彦(いしかわ・のりひこ)プロフィール
1973年東京大学医学部卒業。以後、東京大学医学部附属病院小児科、同精神神経科、マルタ大学児童精神科客員研究員、静岡大学教授(保健管理センター所長)などを歴任。『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』編集協力人。2004年、東京都目黒区に「林試の森クリニック」を開業。2017年院長を交代してフリーに。
定価(本体価格1,000円+消費税)
A5判/88頁/ISBN978-4-88049-335-0
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目次
Ⅰ まず、感染症を知る 助言:小児科医・山田真
1)子どもの病気の見方
ウイルスの復讐?/ウイルスとの一定のトラブルをどうするか/自然治癒力と進化医学/薬の使い方の基本
2)感染症の基礎知識
ウイルスによる感染症はおもに七種/比較的新しいウイルス/ウイルスと治療薬/細菌による感染症/細菌に効く薬/子ども発症が少ない理由/感染症流行の見方/潜伏期間と感染/学級閉鎖と効果/不安が錯綜する状況で
3)病原体とのつきあい方
恩恵を受けている生物/攻撃すれば強くなる病原菌
4)アレルギーは文明病?
ある物質に対する「異常な反応」/アレルギーの原因となるもの/自然のバランスや生態系を変化させた結果
Ⅱ ストレスと子どもへの影響 助言:児童精神科医・石川憲彦
1)「ストレス」を知る
不自由な暮らしが日常/問題なのはリラックス状態に戻れないこと/目安になるのは「食う・寝る・遊ぶ」ができているか/「変調状態」が二週間続いたら要注意
2)家にこもりがちな暮らし
こどもの退屈な様子/ネットで遊ぶ時間/外と内を使い分けすぎていた私たち/あやうくなっていた実情/ネットで学ぶべきこと/親子がぶつかるとき
3)幼児の育ちへの影響
幼稚園や保育園は必要なのか?/ある期間、一人ぼっちの体験をしても/大人は子どもほど柔軟性がない/安全なこもり方が許される状況のなかで/
4)学齢期の日常
環境の変化に慣れるまで/将来が見えなくなる不安を体験すること/教育とはなにか/評価軸で分けるのは最悪の教育/
5)子どもの様子が心配になったとき
将来ゲーム依存? 心配な未来予測はなし/食べない、運動しない子/気になるのは新たな約束事項/ストレスをどう解消するか/解決方法を見つける/いまの状況から学ぶこと
Ⅲ 将来への教訓と備え 助言:小児科医・山田真
──私たちはなぜ不安になり、差別が生まれるのか
1)新型のウイルスがもたらしたこと
自己責任論による差別/「わからない」という不安による差別/いまの状況を説明、判断するときに/正しい情報が不足すれば、トラブルは起こる/ウイルスの量と発病の関係/わからないものを、どうあつかうか/感染症の歴史から見えること/喉元過ぎれば熱さ忘れる?
2)私たちの医療のこと
実態調査をしない/事実上崩壊していた医療/非常時に対応できない理由/感染症の専門家がいない/いざというときに備えるために