予防接種、基本から

2018年10月25日

予防接種、基本から 連載6
保育士・「ワクチントーク全国」事務局長
青野典子

連載6 生ワクチン、2回接種は必要か?

はじまりは、MRワクチン

1989年から予防接種法の定期接種になったMMR(麻しん〔はしか〕、風しん、おたふくかぜ)ワクチンは、三つのメーカーから一種類ずつワクチン株を選んで作った「統一株」でしたが、接種開始まもなくから副作用報告が続きました。そこで1990年8月、その問題を明らかにするとともに、すべてのワクチンを見直そうと、「ワクチントーク全国」が結成されました。
いちばんよいものを選んで作ったはずの統一株で副作用が出ると「慎重に接種しましょう」などと通知を出し、その後、各メーカーの自社株のMMRワクチンを接種してみましたが、やはり副作用が多く、結局1993年には中止せざるをえなくなりました。一時見あわせというかたちでしたが。
MMRワクチンの副作用は認定されただけで1041人です。死亡3人、障害児養育年金2人、障害年金6人をふくみます。いちばん問題になったのは、おたふくかぜワクチンによる無菌性髄膜炎でした。一時見あわせですから、再開すべくいろいろな動きがありましたが、導入することができず、2006年おたふくかぜワクチンを外し、MRワクチンの2回接種というかたちで予防接種法に導入しました。
「麻しん」「風しん」は生ワクチンですから「1回接種したら一生涯免疫がつきます」と保護者向け説明書の「予防接種と子どもの健康」で謳っていたのをこの年からとりさげることになります。生ワクチンを接種しても免疫がつかない人もいるし、免疫がさがっていきまたかかることもある、だから2回接種しましょうというわけです。
ですが、免疫というのは不思議なもので、何回も接種すればそれだけ免疫があがるというものではないようです。現在では2回接種していることが免疫を獲得するための最大限の努力として認められているようですが、2回接種してもまたかかる人がいることはわかっています。
今年流行が報道された麻しん患者では?

2018年3月、沖縄県内で海外からの旅行客の一人が麻しんと診断され、その後大きく報道されつづけワクチン接種が求められています。全国の患者数は夏までに176人で、流行は収まっています。2017年までの5年間の平均患者数は年間216人ですから、例年より多いとはいえません。
沖縄県における麻しん患者発生状況によれば、2018年5月28日時点で、検査診断例100例です。接種歴別にまとめると、麻しん63例(接種なし18例、不明30例、1回9例、2回4例、回数不明2例)、軽症である修飾麻しん34例(不明17例、1回10例、2回5例、回数不明1例、3回1例)、ほかに調査中2例、ワクチン株由来1例です。
1回接種も2回接種も、かかったときには半数には麻しんの症状が出て、半数は軽くすんだということになります。
感染するリスクが非常に低い状況と、予防接種法で受けない権利が認められているなかで、福祉関係の実習などでMRワクチンの2回接種を強力に勧めているのには疑問があります。

※本連載は、次回よりHPにて掲載します。(編集部)

あおの・のりこ
1952年新潟県生まれ。保育士。予防接種についてみなで勉強し、 語りあい、行動する市民団体「ワクチントーク全国」事務局長。「ち・お」編集協力人。著書に、「ち・お」117号『予防接種は迷って、悩んでもいいんだよ。』(共著、小社刊)など。

 

 

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