予防接種、基本から

2021年4月13日

「ワクチントーク全国」事務局長/「ちいさい・おおきい・よわい・つよい」編集協力人
青野典子

連載14 新型コロナワクチン、接種を検討するまえに

 
新たな手法によるワクチン

 この原稿を書いているのは、11都府県に新型コロナウイルス感染拡大による「緊急事態宣言」が出されている1月末で、連日「期待されるワクチン」について報道されています。
 12月24日~1月12日の年末年始に「新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種について(案)」パブリックコメント(*1)の募集がありました。提出先は「内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室」というところで、かかわっている「ワクチントーク全国」の意見を出しました。
 「第17回厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会」(2020年10月2日開催)資料(*2)によれば、新型コロナワクチンは、ウイルスの遺伝情報の一部を接種するという「新たな手法によるワクチン」です。
 新たな手法によるワクチンにはさまざまな問題点が指摘されています。どの情報が正しいのか、早急には判断できませんが、これまでの予防接種でも、たとえばHPVワクチンでは、多様な複雑な接種後の症状を起こしているにもかかわらず、被害が認められず、被害者が裁判で争わなければならなくなっています。また新型インフルエンザワクチン接種後に133名の死亡報告(健康被害救済対象は4名)がありながら、すべて明確な因果関係はないとしています。
 ですから、新型コロナワクチンで「健康被害が生じた場合の適切な救済措置も含め、必要な体制の確保を図る」(*3)と記されても、疑問が残るのは当然のことと思います。
 感染状況やワクチンについての情報は刻々と変わっていきますが、私たちがパブコメに提出した5項目は、接種を検討するうえでとても大事な点だと思いますので、ぜひ読んでいただきたく今回とりあげました。


 
新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種について(案)に関する意見
 
1. 医療者や施設等の入所者・従事する職員においても、強制されることがないよう明記すべきである。

 ワクチンは最終的には個人の判断で接種されるものです(*4)。接種優先順位を決定しても、さまざまな集団のなかで、強制されるような社会風潮がつくられないよう広報する必要があります。

 
2.接種後の健康被害が幅広く迅速に救済されるよう体制を整える必要がある。
 

 接種後の有害事象について、接種経験も少なく、新たな技術を活用したワクチンということからも、科学的に検証して副反応であると認定することは、いままで以上に難しいと考えられます。いままでの知見でわからない有害事象を、予防接種以外に原因があるものの「紛れこみ」と排除しないよう、接種後に健康被害が起きた人に救済申請をすすめるべきでしょう。

 
3. 接種の「禁忌事項」の明確化の必要がある。
 

 健康被害が起こる場合の、原因の可能性としてADE(抗体依存性感染増強)の問題が指摘されています。ワクチン接種後に感染した場合、ワクチンによってできた抗体が、症状を悪化させてしまう現象です。また、無症状のままに感染し、すでに抗体をもっている人たちが多くいると推定できます。「接種不可」「接種不必要」の条件をもった人ではないかどうかを丁寧に的確に問診する体制が必要です。

 
4. 接種後に健康被害が起きていないか、中長期にわたる追跡調査を求める。
 

 ワクチンの製造販売後の調査は当然ですが、新しいしくみのワクチンでは多様な副作用が考えられるので、追跡調査をし、より正確な情報をわかりやすく公開することが必要です。

 
5.集団接種導入の道を作るべきではない。
 

 1994年の予防接種法改正で、「問診を十分にする」「説明と同意の取得」など安全性確保のために「集団接種」から「個別接種」へと変換されました。有効性・安全性が未知のワクチンであり、より丁寧な説明が求められています。
 
 呼吸器ウイルス感染症に対するワクチンで、感染予防効果を十分に有するものが実用化された例はありません。重症化を防ぐかもしれないと個人の判断で接種するのですから、接種しない人が非難される理由はありません。
 厚労省は「予防接種は情報を提供し、最終的には個人の判断で接種するか否か決めるものだ」といっていますから、私たちは情報を集め、悩みながらよりよい判断をしていきましょう。


 

*1 パブリックコメント……国が政令や省令などを定める際に、その案に対して広く国民から意見、情報を募集する手続き。パブコメ。
*2 資料……資料1「新型コロナワクチン実用化に向けた取り組みについて」(厚労省HPより)
*3 「健康被害が~確保を図る」……*2の資料より。
*4 ワクチンは~ものです……厚労省HP「新型コロナワクチン接種についてのお知らせ」にも明記されています(2021年2月26日閲覧)。
※本連載は、本誌とHP「連載を読む」の同時掲載です。
 新型コロナワクチンをめぐる情報については日々更新されていく状況下ですが、今号ではその考え方の基本を青野さんにお教えいただきました。内容に重要な補足や訂正の必要になった場合には、HPにておこないます。(編集部)

 

撮影 新津 岳洋
前回 連載13 接種回数にとらわれすぎないで

あおの・のりこ
1952年新潟県生まれ。保育士。予防接種についてみなで勉強し、 語りあい、行動する市民団体「ワクチントーク全国」事務局長。「ち・お」編集協力人。著書に、「ち・お」117号『予防接種は迷って、悩んでもいいんだよ。』(共著、小社刊)など。

 

 


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